三好達治詩集

三好達治詩集 (現代詩文庫)

三好達治詩集 (現代詩文庫)

「測量船」という詩集のタイトルを詰め込みで暗記しようとしていた記憶がよみがえる。

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

三好達治のこの「雪」は有名ですね。
彼の作品と知らなかったんですが、この詩は知っていました。
この現代詩文庫にはまるまる「雪」が入ってる「測量船」が収録されているほか、
別の詩集から編者がいろいろ選んでくれています。
それから短文や、他の作家による三好達治論や思い出など。
まぁ不勉強なので、三好達治が戦意高揚詩をたくさん書いていたとは知らず、
興味深く読んだ次第です。
特に、鮎川信夫の「三好達治−逃避幻想の詩人」は一読の価値ありかと。
全身全霊をかけて嫌いぬいていることが良く分かります。
最後の〆が、
「日本がよくよく駄目な国なら、彼も長命であろう。」
だもんなぁ。
編者によると、四季派の人はみんなどっかあぶない、
中原中也も戦争をもっと知っていたらどうなったかも分からんよ(要旨)ということだが、
そうかな…そうかも、と思ってしまった。
ま、中学生・高校生くらいなら、こんな文章を読んだら三好達治を嫌いになるか、
鮎川信夫を嫌いになるかどっちかなんだけど、大人なので。

詩を読む人のために (岩波文庫)

詩を読む人のために (岩波文庫)

三好達治の文を読んだのは、この本がはじめて。
これはいい本です、おすすめ。